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佐渡発酵レポート③天領盃酒造

次に訪ねたのは史上最年少の蔵元の酒蔵、天領盃酒造。
大学卒業後、経営難におちいった酒蔵を再興すべく買い取り、自ら酒を造る加登仙一さん(25歳)に会いに行きました。

まず目にしたのは巨大な精米機。精米から自社でやっている蔵はあまりありません。

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酒造りに使う米は佐渡の酒米の越淡麗、五百万石、島根産の山田錦。
越淡麗は大粒で玄米タンパク質含有量が低く*40%以上の高度な精米にも耐えうる米ですが、自社精米を行うことによって、割れてしまったり砕けてしまったりするリスクをさらに最小限にとどめています。
*(タンパク質含有量が高いと雑味が多くなります)

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一方、契約農家の米をどんな事があっても引き取るという契約を結び、農家さんとの信頼関係を築いているとのこと。台風などの災害にあった米は、等級が下がることがあるそうです。トキ保護のため、農薬を基準値のさらに50%としている佐渡の米を、等級で評価してほしくない。「米の等級なんて、関係ないっす!」と熱く語る姿が印象的でした。実際、酒の味にはデータ的には影響がないそうです。

美味しい佐渡の米を、通りいっぺんの精米歩合の数字でランク付けしてほしくないとのことで、酒の特定名称にもこだわらず、飲みたい酒、旨い酒を作るという独自の姿勢を貫いています。

麹はコンピューターで温度管理された機械を使って製麹しています。人の手を加えることで余計な雑菌を入れたくない。機械が良いところは機械で、人の手を加えてべきところは人の手で、というポリシーを持った方でした。

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脱水機は古いものがあったけれど、強力な掃除機でDIYで作っちゃいました!と得意気に見せてくれた、お手製の装置にもびっくり!これだと容器の上の米も下の米も同時にきっちり脱水できるそうです。加登さんは研究者であり職人なのですね!

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当たり前と思われていることを、当たり前と思わず、見直す。どんどん新しい風を吹かせて、いい酒を造っていこうという気概をひしひしと感じました。

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金北山が見える裏庭で、夏は蛍を見ながら酒を飲んでいるという加登さん。

ダンスが得意な千葉の大学生が佐渡で廃業前の酒蔵と出会い、新しい視点で酒造りを始める…まるでそのままドラマになりそうなストーリー。
まだ始まったばかりの彼のドラマ。今後の展開をあたたかく見守っていきたいです。

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天領杯酒造の加登さん、ありがとうございました。

*糀マイスター8期生の大橋 華代さんにレポートの一部をお願いいたしました。

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一般社団法人 日本糀文化協会

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